【米国株:銘柄発掘】サマーストック:夏場に業績改善、注目度もアップ | 米国株、業界動向と銘柄解説 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

サマーストックとは、夏場に業績が伸びたり注目度が高まったりする銘柄群です。一般的にはビールや清涼飲料水、エアコン、旅行・レジャーなどを主要事業とする銘柄を指します。今回は本格的な夏の到来を前に米国株のサマーストックをピックアップしてみました。

ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス[HLT]、ホテルグループの世界大手

ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス[HLT]は世界最大級のホテルグループです。2024年末時点で140ヶ国・地域に8447軒のホテル(126万8206室)を展開しています。

創業者はコンラッド・ヒルトン氏で、1919年にホテル事業を始めています。創業者のファミリーネームを企業名やブランド名として利用する例は枚挙にいとまがありませんが、同氏の場合、「コンラッド」というファーストネームもあますところなくホテル名に利用されています。ちなみに「元祖お騒がせセレブ」はコンラッド・ヒルトン氏のひ孫に当たるそうです。

ビジネスモデルはほかの大手ホテルチェーンと同様、ホテルのオーナー(ホテル不動産のオーナーを含む)にフランチャイズ権やライセンスを付与し、手数料を受け取るという仕組みが軸になっています。

フランチャイズ型:定期的な監査でブランドクオリティを確保

最も一般的なのがフランチャイズ型で、8447軒のホテルのうち7566軒がこのタイプです。ヒルトン側はフランチャイズ契約に基づき、ブランド名、商標、サービスマーク、運営システムなどの知的財産権をホテルのオーナーに供与する対価としてロイヤリティを受け取りますが、ホテルの運営には関与しません。オーナー側が従業員を雇い、日々のホテル業務をこなしていく必要があります。

ただ、ヒルトン側は定期的に監査を行い、ブランドの基準が保たれているかを確認し、ブランドのクオリティーを下げないように努めています。

マネジメント型:オーナーから運営業務を請負

次に多いのがマネジメント型で、8447軒の約1割に当たる831軒を占めています。ホテルのオーナーから運営業務を請け負う形で、ヒルトン側が従業員を雇用するケースもありますが、費用はすべてオーナー持ちです。

オーナーシップ型:売上高の11%に達する

ヒルトン側がホテル不動産を保有・賃借するオーナーシップ型は50軒にとどまり、軒数ベースでいえばわずか0.6%にすぎません。ただ、宿泊料や飲食の代金などがそのまま収入となるため、売上高全体に占める割合は11%に達しています(2024年12月期)。

【図表1】ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス[HLT]:業績推移(単位:百万ドル) 出所:LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成 ※期末は12月

【図表2】ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス[HLT]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年7月3日時点)

カーニバル[CCL]、世界最大級のクルーズ船運航会社

カーニバル[CCL]は世界最大級のクルーズ船の運航会社です。同社の資料によると、世界のクルーズ業界における2024年の乗客収容能力は73万3010人に上り、このうちカーニバルの収容能力(2024年11月期末時点)は26万9970人で全体の約37%を占めています。

業界ではクルーズの大衆化に伴う船舶の大型化が進行中ですが、世界最大の称号にこだわり続けているのはどちらかというとライバルのロイヤル・カリビアン・クルーズ[RCL]です。2022年に就航したロイヤル・カリビアン・クルーズの「ワンダー・オブ・ザ・シーズ」は総トン数が約23万トンで世界最大となりましたが、2024年1月には25万8000トンの「アイコン・オブ・ザ・シーズ」が就航し、自社の船舶で世界最大を塗り替えています。

もちろんカーニバルも格安クルーズでファミリー層や若者層を取り込むにはクルーズ船の大型化は避けて通れませんが、「世界最大」を売りにするロイヤル・カリビアン・クルーズと同じ土俵に上がるつもりはなさそうです。

実際、カーニバルは2027年に新型クルーズ船の「カーニバル・フェスティバル」を投入する予定で、船名こそお祭り一色ですが、総トン数は18万トンです。もちろん超大型船で、カーニバルが運航する船舶の中では最大級となるものの、ロイヤル・カリビアン・クルーズの世界最大のクルーズ船には及びません。

2024年11月末時点のクルーズ船の数は94隻で、内訳は北米&オーストラリア部門が63隻、欧州部門が31隻です。欧州事業にも強みを持つのがカーニバルの特徴で、2024年11月期の欧州事業の売上高は前年比18%増の77億1000万ドルに伸び、売上高全体に占める割合は約31%です。ちなみにロイヤル・カリビアン・クルーズの欧州事業比率は約16%にとどまっています。

【図表3】カーニバル[CCL]:業績推移(単位:百万ドル) 出所: LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成 ※期末は11月

【図表4】カーニバル[CCL]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年7月3日時点)

キューリグ・ドクターペッパー[KDP]、清涼飲料水とコーヒーが主力

キューリグ・ドクターペッパー[KDP]は米国を代表する飲料メーカーの1社です。2018年にキューリグ・グリーン・マウンテンとドクターペッパー・スナップル・グループが合併し、誕生しました。

主力事業は飲料の生産・販売とコーヒーの販売です。飲料ブランドには炭酸飲料の「ドクターペッパー」、「セブンアップ」、ジンジャーエールの「カナダドライ」、果汁飲料の「スナップル」、エナジードリンクの「ゴースト」などがあります。このほかにはフランスのダノンとの提携に基づき、ミネラルウオーターの「エビアン」を米国で販売しています。

米国コーヒー事業では家庭用コーヒーメーカーとコーヒー豆をセットで販売しています。「キューリグ」ブランドのコーヒーメーカーがあれば、専用のカプセルに入ったコーヒー豆をセットするだけで自宅でコーヒーショップのコーヒーを楽しめるという仕組みです。もちろん一度、コーヒーメーカーを買えば、あとはコーヒー豆カプセルを購入すればいいわけです。

コーヒー豆カプセルは自社ブランドの「グリーン・マウンテン」に加え、スターバックス[SBUX]やダンキン、ピーツコーヒーなどのコーヒーショップとの提携に基づき製造しています。

【図表5】キューリグ・ドクターペッパー[KDP]:業績推移(単位:百万ドル) 出所: LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成 ※期末は12月

【図表6】キューリグ・ドクターペッパー[KDP]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年7月3日時点)

モルソン・クアーズ[TAP]、ドイツ系移民のビール醸造所が源流

ドイツはビール王国として知られ、ドイツ人が世界のビール産業に及ぼした影響はかなり大きいようです。例えば中国で有名なビールブランドといえば「青島ビール」ですが、青島は戦前、ドイツの租借地でした。現在の青島ビールの前身は1903年に創業した「ゲルマンビール青島」。ドイツ人がビール作りの技術を持ち込んだのです。

米国では有名ブランドとしてまず名前が挙がるのはバドワイザーかもしれません。創業者はドイツ移民のアドルフ・ブッシュで、義父のビール会社を「アンハイザー・ブッシュ」に変更し、大きく成長させました。

モルソン・クアーズ・ビバレッジ[TAP]もドイツ系移民の手によって作られたビール醸造所が源流といえます。同社のウェブサイトをのぞくと、創業者として紹介されているのが英国系移民のジョン・モルソン、ドイツ系移民のフレデリック・ミラー、そして同じくドイツ系移民のアドルフ・クアーズの3氏です。

3人がビール事業に乗り出した時期や場所は異なりますが、それぞれの事業が成長し、合従連衡の末に現在のモルソン・クアーズが形作られています。3人の名前である「モルソン」「ミラー」「クアーズ」は今も主力商品のブランド名として残されています。

中でも特に「ミラー」「クアーズ」の知名度が高いようです。「ミラー」は英SABミラーのブランドでしたが、2008年にモルソン・クアーズと米国で合弁に乗り出し、ミラークアーズとして事業を始めました。2016年にモルソン・クアーズはミラークアーズの未保有株を買い取り、「ミラー」を傘下に収めています。

現在の主力ブランドは北米で人気が高い「クアーズ・ライト」「ミラー・ライト」「モルソン・カナディアン」、英国のラガービール「カーリング」、クロアチアの人気ビール「オジュイスコ」などです。

業績面では売上高の縮小傾向が懸案で、2025年1-3月期には純利益も大幅に減少し、株価も下落基調が続いています。ただ、サマーストックだけに例年は4-6月期と7-9月期に業績が拡大しており、市場予想では2025年も同様の流れになりそうです。

【図表7】モルソン・クアーズ・ビバレッジ[TAP]:業績推移(単位:百万ドル) 出所: LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成 ※期末は12月

【図表8】モルソン・クアーズ・ビバレッジ[TAP]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年7月3日時点)

サウスウェスト航空[LUV]、テキサス州本拠の格安航空会社

サウスウェスト航空[LUV]はテキサス州ダラスに本社を置く格安航空会社(LLC)です。1971年6月、3機の「ボーイング737」でビジネスを始め、テキサス州内の3都市に就航してから50年余り。2024年末時点で運航する「ボーイング737」は803機に増えています。就航する都市の数も117に拡大しており、米国内では42州とワシントンDC、海外ではメキシコ、ジャマイカ、バハマ、キューバなど中南米を中心に運航しています。

顧客満足度が高いLLCとして知られており、運航上ではピンポイントで都市を結ぶのが特徴です。一般的に航空会社はハブ空港を設けるケースが多く、こうした仕組みでは乗客はいったんハブ空港で乗り換えて目的地に向かうことを強いられます。サウスウエスト・エアラインズはピンポイントで都市を結ぶため乗り換え不要の直行便が多く、時間の節約という顧客サービスを実現します。

同社はLCCの優良モデルとして語られることが多いようですが、さらにサービスを改善する方針です。その一つが指定席制度の導入です。これまで優先搭乗はありましたが、指定席制度は導入していませんでした。2025年下期に販売を始め、2026年上期には新たな指定席制度を取り入れる予定です。

さらに通常より足元の広いエクストラ・レッグルーム席を導入する予定です。顧客の要望に応じたサービス改善の一環で、収益の拡大も目指します。

【図表9】サウスウェスト航空[LUV]:業績推移(単位:百万ドル) 出所: LSEGよりDZHフィナンシャルリサーチ作成 ※期末は12月

【図表10】サウスウェスト航空[LUV]:週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年7月3日時点)

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