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【為替】ユーロ高が「止まる理由」はあるか? | 吉田恒の為替デイリー | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
6ヶ月連続陽線、止まらないユーロ高
一時は2021年9月以来の1.18米ドルを記録するなど、ユーロ高・米ドル安が止まらない。ユーロ/米ドルの月足チャートは6月まで6ヶ月連続のユーロ陽線となった(図表1参照)。2025年が始まった当初1ユーロ=1米ドルの「パリティ(等価)割れ」目前までユーロ安・米ドル高となったところから様相が一変したわけだが、このユーロ高・米ドル安はまだ続くのだろうか。
【図表1】ユーロ/米ドルの月足チャート(2021年~)
出所:マネックストレーダーFX
ECB(欧州中央銀行)は6月まで7回連続で利下げを行ってきた。そうした金融政策と逆行するユーロ高が大きく広がる動きについて、ECB(欧州中央銀行)もそろそろ懸念し始めた可能性はありそうだ。
ユーロ/米ドルが、それまでの高値の1.15米ドルを完全に超えて一段高に向かったのは、6月5日にECBが当面の利下げ打ち止めを示唆した後からだった(図表2参照)。その意味では、さらにユーロ高が進み、たとえば1.2米ドルの大台も超えるようなら、利下げ打ち止めの方針を見直し、利下げを継続する可能性もあるのではないか。
【図表2】ユーロ/米ドルと独米2年債利回り差(2025年4月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
ユーロ売り介入は1.3米ドル以上までなさそう
ただし、ユーロ売り介入を行うことなどにより、ユーロ高阻止に動くような局面ではまだまだないだろう。方向が逆のユーロ安阻止局面でECBがユーロ買い介入に動いたのは2000年のことだったが、これはユーロ/米ドルが5年MA(移動平均線)を2割以上下回った局面だった(図表3参照)。
【図表3】ユーロ/米ドルの5年MAかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
これは、日本の通貨当局による為替介入でも基本的に該当することだが、為替相場の動きが急過ぎるとして介入が行われるのは、5年MAから±2割以上かい離した局面が基本だった。これを参考にすると、足下のユーロ/米ドルの5年MAは1.1米ドル程度なので、それを2割以上上回るユーロ高・米ドル安、つまり1.3米ドルを大きく超える動きにならない限り、ECBがユーロ高阻止の介入に動く可能性は低いだろう。
トレンドと逆に動きやすい7月=夏休み前のポジション調整の影響か
では、利下げやユーロ売り介入に動かなければユーロ高は止まらないだろうか。おそらく最も早いタイミングでユーロ高が止まり、ユーロ安に振れる可能性があるなら、その鍵を握っているのはユーロ買いポジション調整のユーロ売りではないか。
例年、8月の夏休み前に過大なポジションの調整が広がりやすい。近年その影響が顕著だったのは米ドル/円だった。米ドル/円は歴史的インフレ局面で世界的に大幅な利上げが始まった2022年から大きく米ドル高・円安に動いたが、7月は2022年から2024年まで3年連続で米ドル陰線(米ドル安・円高)となった。これは夏休み前に円売りポジションの調整(円買い戻し)に動いたことが影響したと考えられる。
すでに見たように、ユーロ/米ドルは6月まで6ヶ月連続ユーロ陽線となり、息継ぎせずにユーロ高が続いてきた。その中で、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のユーロ・ポジションは買い越し(米ドル売り越し)が先週までに10万枚以上に拡大してきた(図表4参照)。これは極端なユーロ「買われ過ぎ」ではないが、それでも夏休み前にユーロ買いに大きく傾斜したポジションを削減する動きが広がる可能性はあるだろう。
【図表4】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション(2022年1月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
そうした動きは、2022~2024年、歴史的な米ドル高・円安局面でも7月が逆の動き、つまり円高になったように、2025年に入ってから続いてきたユーロ高が、7月に逆の動き、つまりユーロ安に転じることを後押しする可能性があるかもしれない。