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【日本】2025年5月の鉱工業生産は前月比0.5%増 一進一退も在庫縮小続く | 日本とアメリカの重要な経済指標を分かりやすく解説 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
2025年6月30日(月)8:50発表
日本 鉱工業生産指数2025年5月速報値
【1】結果:生産は反転し出荷は拡大も基調判断は「一進一退」で据え置き
【図表1】鉱工業指数速報値の結果(2025年5月分)
出所:経済産業省よりマネックス証券作成
2025年5月の鉱工業指数は、生産指数が前回の4月から持ち直し前月比0.5%増となりました。出荷は2ヶ月連続で拡大し、それによって在庫は2ヶ月連続で減少となり、生産を調整しながら在庫削減が続いている様子がうかがえます。
【図表2】鉱工業生産指数(2020年基準、季節調整値)の推移
出所:経済産業省よりマネックス証券作成
先行き(6月、7月)では、おおむね横ばいでの推移が見込まれています。業種別には、電子部品デバイスや電気・情報通信機械の生産増加が見込まれる一方で、米政権による関税が逆風となる輸送機械や汎用・業務用機械の生産の低下が予想され、業種間でまちまちとなる見込みです。これらを踏まえ、生産動向の基調判断は「一進一退」に据え置かれています。
【2】内容・注目点:自動車が持ち直しも先行きは不透明
【図表3】鉱工業生産指数の寄与度分解(前月比、%、%ポイント)
出所:経済産業省よりマネックス証券作成、一部データについては推定値
5月の生産動向の内訳をみると、3ヶ月ぶりに自動車の生産がプラスとなりました。これにより出荷もプラスとなるものの、先行きでは生産縮小が見込まれており、基調としては弱さがあると考えられます。その他に、生産を押し上げたのは掘削機などの生産用機械や汎用・業務用機械で資本財の生産が拡大しました。一方で、輸送機械(自動車を除く)に含まれる航空機関連の部品の生産が縮小したことが、全体を下押ししました。
【図表4】投資財出荷の寄与度分解(前月比、%、%ポイント)
出所:経済産業省よりマネックス証券作成
財別の出荷動向をみると、資本財が3ヶ月ぶりに前月比でプラスとなりました。プラス幅は大きいものの、前の2ヶ月で低下していたことから、均せば横ばいといった印象で、基調の変化が見られるものではないでしょう。また、先行きも生産用機械は低下が見込まれており、設備投資の先行指標とされる投資財の受注は横ばい程度での推移が予想されます。
【3】所感:在庫削減は進むも、やはり生産増には関税交渉の進展など不確実性の緩和が重要
【図表5】消費財の出荷動向(2020年基準、季節調整値)
出所:経済産業省よりマネックス証券作成
在庫循環図は、今年に入り第四象限に位置し(一般的には先行きにおいて第一象限へと推移すると予想され)、在庫の積み増しが予想される中で、2024年初めから続く在庫削減(在庫指数の前年同月比がマイナス)が長期化している様子です。これは不確実性が高い状況下でも、企業は生産調整を行い、在庫削減といったサプライチェーンマネジメントを実施しているものと考えられ、よく持ちこたえているとも評価できるでしょう。
グローバルな景気に敏感とされる日本の製造業は、その影響が顕著に表れ、生産増に踏み切れない部分があるとも考えられますが、関税交渉の進展やちょうど報じられた中国の日本産農水産物の一部輸入再開のように、各所で生産拡大していく見通しが立てば、上昇基調の兆しがあると考えられるでしょう。その意味でも、製造業関連では足元で進んでいる関税交渉の進展が待たれる状況です。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太